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ドゥ・アンドロイド・ドリーム・オブ・リカコ・アサクラ?

2013.05.15(Wed) | EDIT

(こちらは第八回東方紅楼夢で配布したペーパーに一部修正を加えたものです)



 メイドロボットを見た、などと言うと笑われるだろう。
 だがそれは、確かに動いていたのだ。科学を否定した妖怪の世界、この幻想郷の東の端にある神社という、おおよそ似つかわしくない場所にて。
 どう見ても人間の女の子のメイドじゃないか。私とて始めこそそう思い気に留めていなかった。しかしある時ふと気づいたのである。彼女の背中にどこかで見覚えのあるマークがあることに。帰って調べてみたところ、驚愕の事実が浮かび上がった。
 外の世界から来たオカルトマニアの物理学教授がくれた一冊の本、その名も『ガッケソ 小五の科学』。そこにはあの背中のマークが以下の名前で載っていた。
 放射性標識。
 彼女が原子力で動いていることの証明であった。その本に原子力の説明もあったが、ともかく神社のメイドが人間などではなく、科学技術で造られ科学技術による動力を持つ人造人間(外の世界では『アンドロイド』と呼ばれると書いてあった)だということを突き止めたのである。
 幻想郷にも似たようなもので絡繰りというのがある。ただしこれは決まった動きでお茶を運んだりする程度の前時代的なものだ。自身これの改良を試みたが、一つ行動パターンを増やすのにも大変苦労したし、結論から言えば絡繰りの構造では限界があった。
 しかしこのメイドは「どう見ても人間の女の子」を体現している。一体どのような仕組みで動いているのか、想像もつかなかった。ゆえにこれを解明すれば幻想郷の科学水準は飛躍的に上昇するという確信があった。
 それに幻想郷において科学が魔法を凌駕できるチャンスだと私は考えた。魔法使い、アリス・マーガトロイドが人形操術でそれに近いことをやっていたが、全ての魔法使いが可能とするものではないし、彼女ですら完全な自律人形を完成させるに至っていないからである。
 科学の優位性を示すためには何としてでもこのメイドを解析しその技術を手に入れなければ。そう決断すると後の行動は早かった。泥棒稼業を営む何でも屋に依頼して神社の押し入れに仕舞われていたそれを密かに運び出した。なぜ神社の巫女がこれほどのお宝を眠らせていたのかは理解できなかったが、その理由は後に判明することとなる。
 実物を目にして最初に行ったことは解体だった。道具に強い河童の手を借りて。そうして半ば手術のような形で中身を見た結果、合金のフレームを人工筋肉で動かすという極めて人体に近い構造をしていることがわかった。頭部には脳の代わりにコンピュータらしきものが埋め込まれ、全身の動きを制御するものと思われた。そして内臓に当たる部分に動力炉を備えていた。
 その動力炉だが、放射性標識があることから当然原子炉だとはわかっていた。そして人体に良からぬ影響を及ぼすものが使われていることは『ガッケソ 小五の科学』を読んで承知の上であった。
 しかし、しかしだ。中身を開けて見ないことには構造がわからない。多少健康を害すると言っても私は人間じゃなくて魔法使いであるし、危険な実験にも耐えられるように肉体を魔法で作り変えていた。不本意ながら。
 よってそこまで深刻に考えず分解を始めようとした、その時。私の視界は真っ暗闇と化した。
 何が起こったのか? 最初私は動力炉が爆発でも起こして頭を吹っ飛ばされたのかと思った。だがどうも違うようで、やがて視界が戻ってくるとそこが自分の家ではない、どこか別の空間であることを認識した。そしてそれがどこであるかも正確に。
 次元の狭間。いや、境界と呼んだ方がわかりやすいか。そこに飛ばされた。誰の仕業? 何の目的で? そんなのは決まっている。とどのつまり私がやろうとした行為は幻想郷にリスクを与えるもので、それを『幻想郷』自体に阻まれた結果だということだ。
 おそらく神社の巫女は意識的にか無意識的にか、あの巫女のことだからおそらく後者だとは思うが、この原子炉の危険性を悟っていたのだろう。そうして封印したというわけだ。
 幻想郷は全てを受け入れる、などと『幻想郷』はのたまうが、それは結果に過ぎない。言葉遊びの類になるが、受け入れなかったものは『全て』に含まない。受け入れなかったもの及び受け入れなかったという事実が『なかった』ことにされるのだ。
 それでも私は帰ってこれたって? いや『私の全て』は帰って来れなかった。原子力で動く機械仕掛けのメイドに関する記憶、これだけは向こう側のまま。
 そういうわけでメイドロボットを見た、などと言って笑われることはなかったのである。

 じゃあこの文章はって? さぁ? 可能性の一つでしょ。





というわけで東方夢時空に登場するメイドロボット「ま○ち」……ではなく「る~こと」をフィーチャーして同作品の朝倉理香子の視点から綴ってみました。
こちらは去年の紅楼夢にて三方夢聞口説のオマケにつけたペーパーに載せたものだったのですが、例大祭での口説再版にあたってwebで公開することにしました。
口説の方も第二版ということで全編に渡って修正作業を行いましたので、まだ読んだことがないという方は勿論、初版をお持ちの方も是非手に取ってみてください。いや内容自体はほとんど変わってないですけどね。
新刊も用意できそうなのでまた改めて告知します。うじゃうじゃ。
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Author:宇佐城
同人サークル「月宇佐城」代表
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